～AI・検索品質評価ガイドライン・Core Web Vitals・定番ツールの紹介まで網羅～

【はじめに】

「SEO対策は、結局どのように取り組めばよいのか？」「Googleは何を基準に検索結果を決定し、どんなサイトを高く評価するのか？」といった疑問は、2020年代前半から2025年に至る今も、多くの企業やWeb担当者、個人にとって最大のテーマとなっています。インターネット上の情報発信が当たり前になり、デジタルマーケティングが本格化するなかで、検索エンジン最適化（SEO）は基礎中の基礎ともいえる存在です。

しかし、この数年間、検索エンジンのアルゴリズムは大きく進化を遂げました。AIの活用や検索体験の変化、モバイル・音声検索の普及など、SEOを取り巻く環境は以前とは別次元ともいえるほど進化しています。2025年においては、AIによる要約（Search Generative Experienceや会話型検索）が標準化され、従来の「キーワード→検索結果」という一対一の図式ではなく、「AIサマリー→詳細情報を読む」という段階的な検索体験が定着しました。さらに、コアウェブバイタル（Core Web Vitals）の指標が刷新され、INP（Interaction to Next Paint）が正式に導入されるなど、技術面での対応も欠かせません。

一方で、不変の要素もあります。Googleが掲げる10の事実や検索品質評価ガイドラインの核心は「ユーザーの利便性を最優先する」という理念です。E-E-A-T（経験・専門性・権威性・信頼性）やページ品質（Page Quality）をどう高めるか、YMYL（Your Money or Your Life）領域での情報提供をどう扱うか、ページエクスペリエンスをいかに最適化するか。こうした土台は、時代が変わっても根幹が揺らぐわけではありません。

そこで本記事では、2025年の視点から、最新のSEOトレンドを包括的に解説します。まずは「何が大きく変わったか」「逆に、何が変わらずに重要視され続けているか」を整理し、検索品質評価ガイドラインに示されるページ品質（Page Quality）やニーズメット（Needs Met）、ページエクスペリエンス（Page Experience）の評価項目を深掘りします。さらに、E-E-A-Tやコアウェブバイタルへの対応、被リンクや外部指標の活用方法、そして国内外のSEOツールとして注目されるKeywordmapやSimilarWebの特徴についても紹介します。最後に、Webサイト運営者が今後重視すべきポイントと注意点をまとめ、「ユーザーファースト」という本質から外れないSEO戦略の在り方を明確にしていきましょう。

【第1章】2025年のSEO環境：大きく変わった点、変わらない点

1-1. AI検索の普及とユーザー行動の変化

2020年代前半から急速に進化したAI技術は、2025年になった今も検索体験を大きく変え続けています。MicrosoftがBingに会話型AIを組み込み、Googleが「Search Generative Experience（SGE）」や「Gemini」を導入したことで、検索ユーザーはAIが生成する要約や関連情報をまず目にする機会が増えました。これにより、「とりあえずGoogleでキーワードを打ち込む→上位10件をざっと眺める」という従来型の検索行動は影を潜め、AI要約を一読したうえで必要があれば詳細をクリックするという形が定着しています。

これがSEOに与える影響は大きく2つに分けられます。

1. 「AI要約に取り上げられるか」が新たな基準

   ユーザーがAI要約で欲しい答えをある程度得られてしまうため、コンテンツが要約に引用されない限り、ページへ誘導される確率が下がるリスクがある。

2. ユーザーの検索行動が複層化

   AIサマリーを読む→さらに深い情報を探すため特定のページへ行く、という段階を踏むことで、コンテンツの独自性や専門性が一層問われるようになった。

このように、検索の入り口がAIサマリーに置き換わるという環境下で、SEO担当者は「AIが引用したくなるオリジナル情報や専門性」「E-E-A-Tを明確に示す仕組み」をより強化する必要があります。

1-2. ページエクスペリエンスとUXの強化

「ページエクスペリエンス」は2021年ごろから強調されてきた指標で、モバイル対応・SSL化・インタースティシャルの有無・ページ表示速度などを総合的にチェックする概念です。2025年の時点では、これらはほぼ標準対応すべき項目として認識されており、未対応のサイトは大幅に評価を落とす可能性が高いと言えます。

特に、インターステイシャル広告などユーザー体験を阻害する要素に対する罰則が年々強化されており、2024年後半アップデート以降は、誤クリックを誘発する広告を多用しているサイトが大きく順位を下げる事例も報告されています。モバイル端末利用がさらに進んだ2025年において、煩わしい全面ポップアップはユーザーが嫌う最たる要因の一つになっているのです。

1-3. E-E-A-Tへのさらなる傾斜

E-E-A-T（Experience、Expertise、Authoritativeness、Trustworthiness）は、Googleの検索品質評価ガイドラインで示される重要な評価軸です。医療・健康や金融、法律などのYMYL（Your Money or Your Life）領域を中心に、専門性や権威性、実体験が伴わない情報は評価されにくくなる傾向が強まり、2025年では体験談や専門家監修を明確に示さない限り上位化が難しいケースが増えています。

ここで2025年の新しい潮流として挙げられるのは、AI生成コンテンツが氾濫する時代において、「人間のリアルな経験に裏打ちされた情報」こそが他サイトとの差別化要素として価値を持つようになった点です。専門家インタビューや独自調査、オリジナルの実験データなどを記事内に盛り込めば、AIによる凡庸な文章との差異が明確になり、検索エンジンからの評価も高まる傾向があります。

【第2章】ページ品質（Page Quality）・ニーズメット（Needs Met）・ページエクスペリエンスの詳細

Googleの検索品質評価ガイドラインは、検索体験の向上を目指すうえで避けて通れない文書です。ここでは、そのガイドラインが示す3つの評価軸――ページ品質（Page Quality）、ニーズメット（Needs Met）、ページエクスペリエンス（Page Experience）を再確認しつつ、2025年の最新動向とともに深掘りします。

2-1. ページ品質（Page Quality）の評価項目

■E-E-A-Tを中心とした品質判断

検索品質評価ガイドラインでは、Page Quality（ページ品質）を測る上で下記要素を重視しています。

• E-E-A-T（Experience・Expertise・Authoritativeness・Trustworthiness）

• 被リンクの量と質

• コンテンツ作成者や監修者情報

• WEBサイトやコンテンツ作成者の評判

• YMYL領域であるか否か

  
  

ページ品質は下記5段階に分類されます。

1. Highest：最高品質

2. High：高品質

3. Medium：中品質

4. Low：低品質

5. Lowest：最低品質

   
   

最高評価の“Highest”は、ページとしての目的を十分に果たし、専門家やユーザーからの評判も高い――つまりE-E-A-Tが非常に高いサイトである、ということを意味します。逆に“Lowest”は、安全性に問題がある、誤情報が多い、スパムサイトである等、致命的な問題が認められるページが該当します。

■YMYLジャンルへの厳格対応

医療・健康、金融、法律、保険などのYMYLジャンル（Your Money or Your Life）は、ユーザーの人生や金銭に重大な影響を与える領域です。2025年現在、AIが生成する無責任なコンテンツによる誤情報リスクも高まっているため、YMYLジャンルでは専門家による監修や学会データの参照などがほぼ必須になっていると考えられます。

2-2. ニーズメット（Needs Met）の評価項目

ニーズメット（Needs Met）とは、検索ユーザーの検索意図や要求に対して、そのページがどの程度応えられているかを評価する軸です。5段階で示され、「Fully Meets（完全に満足）」「Highly Meets（非常に満足）」「Moderately Meets（概ね満足）」「Slightly Meets（少し満足）」「Fails to Meet（不満）」のいずれかに振り分けられます。

2025年では、AIとの連携が進んだ結果、ユーザーが1回の検索で複数の意図を持つケースが増えたとも言われますが、それだけにコンテンツ提供側としては“最もコアなニーズ”にフォーカスしつつ、必要に応じた関連情報も用意することが重要です。以下のポイントが鍵となります。

• 再検索が必要ないほど情報を網羅・整理している

• 情報の信憑性や鮮度が高く、引用ソースが明確

• 過度に詰め込みすぎず、必要な要素をコンパクトにまとめている

  
  

2-3. ページエクスペリエンス（Page Experience）

ページエクスペリエンスとは、ユーザーがそのページを利用する際にどの程度快適かを総合判断する指標です。2025年時点でも、モバイル対応やSSL化は“あって当たり前”の基本要件になり、ページ表示速度やレイアウト崩れ（CLS）、インタラクション応答（INP）などを重点的に見る流れが続いています。具体的には以下の要素で評価されます。

• ページ構成：ヘッダー・メインコンテンツ・フッターの設計が明快か、広告やサイドコンテンツが過剰ではないか

• インターステイシャルの有無：全面ポップアップなどが閲覧体験を阻害していないか

• ページ表示速度：LCP・INP・CLSなど、Core Web Vitalsの良好スコア

• モバイル対応：レスポンシブデザインやモバイルフレンドリーを実装

• SSL化（HTTPS）：サイト全体が安全通信を確保しているか

ページエクスペリエンスは、検索ユーザーにとっての快適さを具体的に測る指標であり、どんな端末でもストレスなく目的を達成できるページを作ることが求められます。

【第3章】ページ構成やインターステイシャル、表示速度など具体的な改善策

3-1. ページ構成の最適化

典型的なWebページは、ヘッダー（サイトタイトルやグローバルナビゲーション）、メインコンテンツ、フッター（著作権表示や問い合わせリンクなど）の3つから成ります。ユーザーが最も重視するのはメインコンテンツなので、広告やサイドコンテンツがメイン領域を邪魔しない構成を心がけましょう。例えば、メインコンテンツの真ん中に大きな広告が挿入されてスクロールを強制される設計などは、ユーザー体験を損なう可能性が高いため要注意です。

3-2. インターステイシャルの抑制

インターステイシャル（全画面広告）は、ユーザーがコンテンツにアクセスする前に強制的に何かをクリックさせたり、閉じる操作を余儀なくさせるため不評になりやすいです。Googleはこれをページエクスペリエンスのマイナス要素とみなし、2024年後半のアップデートでは特にモバイル端末でのインターステイシャルが厳格にチェックされるようになりました。どうしてもポップアップを出す必要がある場合は、スクリーンの一部だけで収まるサイズや特定の場面だけに留めるなどの配慮が必要です。

3-3. ページ表示速度とCore Web Vitals

ページ表示速度は、LCP（最大要素の描画速度）とINP（インタラクションの応答速度）、およびCLS（レイアウトシフトの安定性）の3軸で数値化されます。これらを良好に保つための改善策としては、以下が代表的です。

• 画像・動画の圧縮や遅延読み込み（Lazy Load）

• JavaScriptやCSSの軽量化、不要ファイルの除外

• サーバーレスポンスの最適化（キャッシュやCDNの活用）

• 初期表示に必要なリソースだけ先行読み込み（Preload、Critical CSSなど）

特に2025年ではINPの評価が導入されたことで、「ユーザーが何度もボタンを押したりリンクを開いたりする際の応答性」への最適化が必須になっています。SPA（シングルページアプリケーション）やフロントエンドフレームワークを使ったサイトは、JavaScriptのバンドルサイズやロード方式を見直さないとINPが悪化しがちです。

【第4章】SEO評価を示すツールと2025年の選択肢

ここでは2025年でもメジャーなSEOツールとして、Ahrefs、Keywordmap、SimilarWeb、PageSpeed Insightsを紹介します。これらはいずれも多くのSEO担当者に利用されており、変化が激しい現代においても“定番中の定番”として位置づけられています。

4-1. PageSpeed Insights

PageSpeed InsightsはGoogle公式のツールで、ページ表示速度やCore Web Vitals（LCP、INP、CLS）を測定し、具体的な改善点をフィードバックしてくれます。“ページ表示速度”が遅いことはユーザー離脱の大きな要因であり、2025年でもINPの最適化やレスポンシブデザインなど、技術的対応を行うために欠かせない存在です。

4-2. Ahrefs

Ahrefsは、被リンク解析やキーワード調査、競合サイト分析などオールラウンドに使える海外発のSEOツールです。ドメインレーティング（DR）やURLレーティング（UR）などの指標を表示し、サイトの被リンクプロファイルを詳細に分析できるのが強み。リンクスパムチェックや競合比較を行う中で、外部施策を最適化したい場合に多くのSEO担当者が利用しています。

4-3. Keywordmap

日本企業の株式会社CINCが提供するKeywordmapは、競合分析やSEOキーワード発見、広告最適化、検索順位計測、コンテンツ制作など多彩な機能を備えたプラットフォームです。独自に蓄積したビッグデータをもとに、検索市場の動向や競合サイトの戦略を可視化する機能が特徴的。また、専任カスタマーサクセスの手厚いサポートを受けられるため、未経験者でも戦略立案からPDCAまで効率的に進められるという評判があります。SEOだけでなくコンテンツマーケティングや広告キーワード選定など、複数の観点で使えるツールとして、日本市場に根付いています。

4-4. SimilarWeb

SimilarWebは、Webサイトやアプリのトラフィック分析、競合調査を行えるプラットフォームで、世界中の企業に利用されています。SEOだけでなく、総合的な流入源の分析が可能で、無料版でも大まかなサイトの訪問数や検索キーワードがチェックできます。2025年になっても、「競合がどのキーワードで流入を稼いでいるか」や「ユーザーがAIサマリーから移動してきたのか直接検索なのか」などの動向を掴むのに役立つため、多くのWeb担当者が最初のリサーチツールとして活用しています。詳細データは有料プランで確認できる仕組みです。

【第5章】ページ品質（Page Quality）の深掘り：E-E-A-Tと構成要素

ここで一度、ページ品質（Page Quality）における重要要素を整理します。Googleの検索品質評価ガイドラインによれば、ページ品質を左右するのは大きく以下のとおりです。

1. ページ目的（検索ユーザーの利便性を満たす目的があるか）

2. WEBページの安全性（SSL化や悪意ある広告がないかなど）

3. ページテーマのYMYL該当性（お金や医療、法律など人生に大きく影響する領域か）

4. 広告やサイドコンテンツがメインコンテンツを邪魔していないか

5. WEBサイトやコンテンツ作成者情報の有無

6. メインコンテンツのクオリティ（費やした労力、独自性、スキルの高さ）

7. サイト評判やコンテンツ作成者の評判

8. WEBページの信頼性（E-E-A-T）

   
   

5-1. E-E-A-Tの具体化

• Experience（経験）：実際に商品を使った、サービスを受けた、現場に行ったなど体験があるか

• Expertise（専門性）：その分野での資格・実績・知識を持った人が執筆/監修しているか

• Authoritativeness（権威性）：公的機関や著名サイトからの引用、被リンク、メディア掲載など

• Trustworthiness（信頼性）：運営会社情報が明確か、プライバシーポリシーやセキュリティ対策が整っているか

  
  

2025年に入り、“経験”に特に注目が集まっています。AIコンテンツが量産される中、人間のリアルな体験に基づく視点こそが独自性を生むと言えるでしょう。

5-2. メインコンテンツのクオリティとデザイン

ページ品質では、メインコンテンツ（MC）の質が最重要です。ユーザーが求める情報を的確かつ深く提供するのは当然で、UI/UX面でも見出し構造や図表、動画の埋め込みなどで分かりやすさを高めると評価されやすいです。また、広告やサイドコンテンツの配置が過剰でなく、メインコンテンツが隠されないよう配慮しなければなりません。

YMYLに該当するようなジャンル（医療、投資、法律など）では、専門家による記名解説や監修者の経歴・連絡先を明示することが事実上必須とされています。これにより、ユーザーと検索エンジンの双方に対して、「この情報は責任を持って発信している」というメッセージを与えられます。

【第6章】ニーズメット（Needs Met）の具体例：ユーザー意図をどれだけ満たせるか

ニーズメット（Needs Met）は、検索ユーザーの検索意図とページ内容のマッチングを評価する指標です。検索品質評価ガイドラインでは、Fully Meets（完全に満足）からFails to Meet（不満）まで5段階あります。ニーズメットを高めるには、主に下記の観点が重要です。

1. 検索意図の正確な把握：キーワードの裏にあるユーザーの目的を深掘りし、記事やコンテンツを最適化

2. 情報網羅性＆分かりやすさ：ユーザーが再検索したくならないほど、十分に且つ簡潔に回答

3. 情報の鮮度や信頼性：時事ネタであれば最新情報を反映し、専門家の裏付けや引用を適切に示す

4. ユーザーの行動を想定した導線：具体的には、商品なら購入や問い合わせ、知識なら関連トピックへのリンクをスムーズに配置

たとえば「○○の使い方」という検索意図で、記事を開いたユーザーが“最後まで読んでも目的を達成できない”状況ならニーズメットは低く評価される可能性が高いです。逆に写真や動画を豊富に使い、ステップバイステップで解説してユーザーが迷わないようにすれば「Highly Meets」や「Fully Meets」を得やすくなります。

【第7章】YMYL領域の強化とSEO施策

2025年現在、YMYL（Your Money or Your Life）領域が占める重要度は引き続き増しています。健康やお金、法律に関する誤情報は個人や社会に大きな影響を与えるため、検索エンジンも特に慎重に扱っていると言われます。具体的に何をすべきか、以下で整理します。

1. 専門家・資格保持者の監修表示：医療なら医師、金融ならFPや税理士、法律なら弁護士など、該当分野の正規の資格保有者が監修しているかどうかを明記

2. E-E-A-Tを強化：自社独自の研究データや実験結果、統計情報などを提示し、体験や専門性をアピール

3. 最新情報の更新：法律や医療ガイドラインが変わった時点で速やかに記事をリライトし、更新日を明示

4. 誤情報対策：FAQや誤解されやすいポイントを明確化し、ユーザーが混乱しないよう配慮

   
   

YMYLでは一度の間違いが致命傷になりかねず、検索エンジンとしても「情報が正確かつ安全か」を非常に厳しく見る傾向が強いです。たとえAIが自動生成したコンテンツであっても、専門家によるレビューや出典の明示がなければ評価が伸び悩むでしょう。

【第8章】内部施策・外部施策の整理とAI時代の施策観点

SEOを大きく分けると、コンテンツ施策・内部施策・外部施策の3つに分類できます。2025年でもこの基本構造自体は変わりませんが、AIの進化に伴い施策の優先度や方法が若干変化しています。

8-1. コンテンツ施策：ユーザーの検索意図とE-E-A-T

コンテンツ施策のキモは、検索意図に沿ったテーマ設定とオリジナル情報や専門性を組み合わせることです。AIを使ってドラフトを自動生成すること自体は効率的ですが、E-E-A-Tを高めるために独自の経験談や取材内容を盛り込む作業は人間が行う必要があります。要するに、AIライティングに任せるだけではなく、自社ならではの情報を積極的に付与するのが差別化のカギです。

8-2. 内部施策：サイト構造やUXの見直し

内部施策は、サイト構造・内部リンク・タイトルタグ・メタディスクリプションなど、HTMLやCMSの調整を伴うものです。技術的にはコアウェブバイタルへの対応やモバイルフレンドリー、SSL化が不可欠。2025年にはINPの最適化が加わり、JavaScriptやフロントエンドフレームワークの設計を見直さないと“良好なインタラクション”を実現できず、評価が上がりづらい場面が増えています。

8-3. 外部施策：被リンクの獲得とサイテーション

外部施策は、被リンクを中心としたサイトの評価向上を目的としますが、2025年ではスパムリンク対策がさらに強化されているため、自作自演の大量リンクはペナルティを受けるリスクが高いです。ドメインオーソリティ（DA）やドメインレーティング（DR）、トラストフロー/サイテーションフローなど、被リンクの質をチェックする指標は活用できますが、結局は質の高いコンテンツがなければ自然発生的なナチュラルリンクは得られません。また、サイテーション（リンクなしの言及）も注目されています。SNSや口コミ、レビューサイトなどでサイト名やブランド名が頻繁に言及されれば、“指名検索”が増え、長期的なSEO効果につながるでしょう。

【第9章】AI時代におけるSEOのメリット・デメリットと費用感

9-1. SEOのメリットとデメリット

メリット：

• 広告コストをかけずに、長期的な流入を獲得できる（資産化）

• 良質なコンテンツを増やす過程で社内ノウハウが蓄積される

• ユーザーとの接点を増やし、指名検索やブランド認知が高まる

デメリット：

• 成果が出るまでに時間がかかりがち（3ヶ月～1年以上）

• コンテンツ制作やテクニカル対応にリソースが必要

• 競合が多い人気キーワードでは難度が高く、場合によっては広告と併用せざるを得ない

2025年になっても、この構造は変わりません。AI活用が進んだため、文章量を一気に増やすのは楽になりましたが、一方で「同質のAI量産コンテンツ」が増えてしまうというジレンマもあります。本当に差別化できるオリジナル情報を持つサイトこそが、中長期的にメリットを得やすいでしょう。

9-2. SEOにかかる費用感

SEOを外部へ依頼する場合、コンサルティング費用やコンテンツ制作費、サイト改修費などが発生します。相場としては、

• コンテンツ制作代行：1記事あたり1万～数万円

• 月額コンサルティング：10万円～数十万円

• SEOツールのサブスク：AhrefsやKeywordmap、SimilarWebなど、月数万円～数十万円

自社内でインハウスSEOを行う場合も、人件費や教育コストがかかる点では一種の投資といえます。ただ、AI時代において記事作成を効率化できる可能性があるため、「記事ネタ構成にChatGPTを活用し、専門家が最終執筆して校正する」形をうまく回せば、コストを抑えつつ高品質コンテンツを量産できるかもしれません。

【第10章】総括と今後の展望 ～AIと共存しながら本質を外さないSEOを～

10-1. 変わりゆく検索体験、変わらぬ“ユーザーファースト”

2025年に入ってもなお、Googleは「ユーザーにとって役立つ情報を素早く提供する」という根本理念を貫き、検索体験を進化させています。AIサマリーが登場して検索結果ページが大きく変わる一方、コンテンツそのものの有用性やE-E-A-Tの高さが評価される原則にブレはありません。むしろAI時代だからこそ、体験に基づくオリジナル情報（Experience）や専門家の監修（Expertise・Authoritativeness）、安全性と正確性（Trustworthiness）がより際立ちます。

10-2. AIサマリーへの備え

SEO担当者は今後、「AIサマリーに引用されるための最適化」という新たな課題に向き合うことになるでしょう。しかし、これは裏を返せば“価値のあるコンテンツを持つサイトが引用されやすい”という当たり前の流れに戻るとも言えます。AIが複数サイトの内容を要約するとき、よりE-E-A-Tが高いコンテンツや具体的データを含むページを参照する可能性が高いからです。

10-3. ツール選定と継続的PDCA

Keywordmap（CINC）やSimilarWebのような競合分析ツールを活用し、市場や競合サイトの動きを常に把握することが欠かせません。さらに、Google Search ConsoleやGoogleアナリティクス4などの公式ツール、PageSpeed InsightsでのCore Web Vitals測定を組み合わせて、サイト改善のPDCAを回すサイクルがSEO成功の土台になります。

継続的にキーワード順位やトラフィック、コアウェブバイタルのスコアをウォッチしつつ、改善策を実装→再検証を積み重ねるなかで、E-E-A-Tを高めるオリジナル情報の更新やYMYL領域での専門性確保、AIサマリーに引用されるための差別化要素を追求するのが望ましいと言えるでしょう。

10-4. 最後に

本記事では、2025年のSEOを巡る最新トレンドと、Google検索品質評価ガイドラインやE-E-A-T、Core Web Vitals、主要ツールの話を統合的に解説してきました。

結局、SEOの要点は「ユーザーが求める情報を、最適な形で、迅速に提供する」ことに尽きます。AIの飛躍で検索体験が多層化しても、“ユーザーにとって有益かどうか”は普遍の評価基準です。被リンクや外部サイトでの言及（サイテーション）は、信頼性を示すための一助となり、E-E-A-Tが高いコンテンツは検索エンジンとAI要約の双方に認められやすい。モバイル端末の普及率がさらに上昇し、ページのインタラクション（INP）を軽視するとユーザーの離脱率が上がる――こうしたテクニカル面とコンテンツ面の両輪をきちんと回すことが2025年のSEO成功のポイントです。

「SEOは、どのように評価されるのか？」という問いへの本質的な答えは、今も昔も「ユーザーファーストであり続ける」こと。そこにAIやコアウェブバイタルなどの新要素が加わって複雑に見えますが、軸がぶれていなければ正しい施策を取れるはずです。本記事で触れた概念やツールを活かし、コンテンツの価値や体験の独自性を高めながら技術的最適化を行うことで、時代に適応したSEO戦略を構築していただければ幸いです。